前の章で買う側の話をしたので、今度は売る側です。企業はいったい何をして、わたしたちを動かしてるのか。
わたしはずっと、マーケティング=広告を作る仕事だと思ってました。違いました。
マーケティングは、売る前から始まってる。
正確には「誰の、どんな困りごとを引き受けるか」を決めて、商品も値段も売り場も言い方も、買ったあとの気分まで全部そろえる活動のことでした。広告はそのうちの一個でしかない。
だから広告だけ上手くても、使うたびにガッカリする商品はそのうち誰も買わなくなります。逆に、広告が地味でも買いやすくて満足度が高ければ、勝手に売れていく。当たり前なんですけど、広告の話ばっかりしてると忘れます。
企業が触れるレバーは、だいたい4本。
マーケティングミックス、いわゆる4Pです。作る側の言葉なので、買う側から見た4Cと並べたほうが分かりやすい。
| 4P:売る側 | 4C:買う側 | 確認すること |
|---|---|---|
| Product:製品 | Customer Value:価値 | その人の目的に合ってる? |
| Price:価格 | Cost:総負担 | 値段だけ? 時間と不安は? |
| Place:流通 | Convenience:利便性 | 買いやすい? 受け取りやすい? |
| Promotion:伝達 | Communication:対話 | 伝わる? 質問できる? |
サービス業だと7Pになって、People(人)、Process(手順)、Physical Evidence(判断材料になる物)が足されます。店の清潔さも、導入資料も、店員の感じの良さも、提供してる価値のうちってことです。
値段は「高くすれば高級」にはならない。
原価と、競合と、払う気になる金額。この3つから決める。高い値札をつけて売れてないのは、高級なんじゃなくて、ただ売れてないだけです。
アンカー価格やセット販売は、比較を助ける道具ではあります。でも存在しない「通常価格」とか、ずっと終わらない「本日限り」はやめたほうがいい。一回バレたら、その店の値札は二度と信用されません。
「ちょっと値下げしよう」の、ちょっとじゃなさ。
ここ、計算すると顔色が変わります。
値札を1割下げただけなのに、1個あたりの儲けは4分の1が消えます。元に戻すには、3割以上多く売らないといけない。しかもこの計算、固定費も返品も広告費もまだ引いていません。「ちょっと下げるだけ」と言う前に、ここだけ電卓を叩いてください。
買う気があっても、買えなきゃ終わり。
欲しい気持ちはあったんです。でも受け取りが面倒で、サイズ交換のルールが分からなくて、その日は閉じました。それだけ。
競合と「支払総額/購入手順/納期/返品/相談先」を並べて比べる。広告を作り直す前に、買いにくさを一つ消す。
身近な例と実務の提案は、本サイトによる説明用の仮説です。人物の発言は架空で、調査回答や利用者の証言ではありません。
