ここまでで、誰に何をどう届けるかの話をしてきました。じゃあそれが実際に広がるとき、何が起きてるのか。

新しいものに飛びつく人と、様子を見る人。

わたしは完全に後者です。新しい美容家電、気になるけど、まず詳しい友達の家で試したい。この違いを整理したのがロジャースの分類です。

どの層理論上の比率何を重視しがちか
イノベーター2.5%新しさ、試すこと自体
アーリーアダプター13.5%新しい価値、先取りの利点
アーリーマジョリティ34%実績、役に立つか
レイトマジョリティ34%みんな使ってるか、値段
ラガード16%変える必要ある?
キャズム ─ 熱心な人と、普通の人のあいだにある溝
イノベーター2.5%アーリーアダプター 13.5%アーリーマジョリティ 34%レイトマジョリティ 34%ラガード16%キャズム新しさで買う人 →← 実績で買う人

左の人たちは「新しいものだから試す」。右の人たちは「みんなが使っていて、失敗しないから買う」。求めている証拠がそもそも違うので、左に効いた言い方をそのまま右に出しても届きません。比率はモデル上の数字で、市場ごとの実測とは一致しません。

キャズム=熱心なファンの先にある崖。

新しさが好きな初期の人と、実用重視の主流の人のあいだに深い溝がある、という話です。ここで多くの商品が落ちる。

比率はモデル上の数字で、市場ごとの実測と一致するわけではないです。あと同じ人でも分野によって変わります。わたしは美容には早いけど、家電はラガードです。

お客さんの頭の中は、まっすぐ進まない。

漏斗の絵みたいに、上から下へ綺麗には落ちてくれないです。

段階客の疑問見る数字の例
認知これ、わたしの話?認知、想起
興味何がいいの?詳細ページの閲覧
比較他と何が違うの?比較の行動
購入失敗しない?購入率
利用ちゃんと使える?利用開始率
継続また選びたい?継続率

AIDMAとかAISASとかのモデルは、整理用の道具です。Googleの購買研究でも、候補を増やす探索と絞る評価を行ったり来たりすると説明されています。まっすぐじゃないのが普通、ということ。

あと買ったあとが本番です。CRMって「顧客関係の管理」のことで、全員にクーポンを毎日送ることじゃないです。初回は使い方、つまずいた人には助け舟、使い切る頃に補充のお知らせ。段階に応じて関わる。

媒体を先に決めると、目的が「投稿すること」になる。

「とりあえずTikTokやろう」から始まった施策、だいたい途中で何のためだったか分からなくなります。手段は後です。

手段主な役割設計で気にすること
検索広告もう困ってる人を捕まえる検索意図とページを一致
SNS・動画使う場面に気づいてもらう冒頭の関連性、実演
ディスプレイ認知と想起を広げるどれだけの人に、何回
再接触広告検討を後押しする買った人は除外する
SEO・記事調べてる人を助ける一次情報と具体的な答え
EC・店頭買う直前の場所で会う商品情報、在庫、レビュー
メール・LINE使ってもらう、また買う同意と、その人の段階

Paidは買う接点(広告)、Ownedは自社の資産、Earnedは他人が勝手に言及してくれるもの。広告で見つけて、自社ページで理解して、第三者の声で確かめる。この連携で考えます。

数字で言うと、デジタルはもう半分。

2025年の日本のインターネット広告費は4兆459億円で、総広告費の50.2%でした。ただしこれは市場全体がいくら使ったかの集計で、あなたの会社の最適な配分ではないです。みんなが使ってるから正解、ではないので。

あとAI検索にも読み取れる形で情報を置いておくこと。仕様、比較条件、料金、制約、根拠を曖昧にしておくと、要約されるときに都合よく削られます。米国の小売サイトではAI経由の流入が2026年1〜3月に前年比393%増と報告されていますが、これは伸び率の話で、流入全体に占める割合とは別です。

それと、企業が依頼したり関与したりしてる投稿は、一般の感想と区別が付くようにしてください。日本ではステルスマーケティングが景品表示法上の規制対象です。

YOUR TURN / 仕事に置き換える

今のお客さんが「新しさ」を買ってるのか「実績」を求めてるのか確認する。次の層が怖がってることを三つ挙げて、その証拠と手助けを用意する。

身近な例と実務の提案は、本サイトによる説明用の仮説です。人物の発言は架空で、調査回答や利用者の証言ではありません。

この章の出典・参考資料(8件)