ここまでの話を、ぜんぶ一回使ってみます。

STEP 01から11まで、理屈は一個ずつ分かった気がするんですよ。でも実際に手を動かすとなると、どこから触ればいいのか分からなくなる。なので、一つのお題で最初から最後までやってみます。

お題は、駅前で40年やってる、売買仲介専門の不動産会社のサイトを作り直すことにします。

依頼主の状況内容
会社つばめ不動産(架空)。駅前にある、売買仲介専門の会社
社員数・歴史5人。同じ場所で40年(架空の設定)
悩み大手の仲介会社と一括査定サイトに名前が埋もれて、サイトからの問い合わせがほぼ無い
今のサイト物件写真がぎっしり並んで、上のほうに赤い「無料査定」のバナー

会社名、創業年、相談件数みたいな数字は全部こちらで決めた架空の設定です。「あさぎ市」という地名、スタッフの名前、口コミの内容と件数も、同じく架空です。「つばめ不動産」という名前は、検索しても同じ名前の有名な会社とは被らないことを確認しています。

じゃあ、誰に来てほしいサイトにするか。

ここ、わたしはいつも飛ばします。で、あとになって「誰のことも考えてなかった」って気づいて、だいたい全部やり直します。「みんなに来てほしい」で作ると、誰にも刺さらないまま終わるので、STEP 03でやった話をもう一回ちゃんと使います。

架空のペルソナ:実家をどうするか考えているKさん
相続した空き家に悩む人

Kさん・54歳

隣の県在住、会社員。実家まで車で1時間半

いまの状況
父が亡くなり、母は施設に。実家には誰も住んでいない
きょうだい
2人。1人は近くに住んでいて、もう1人は遠方
実家との距離
車で1時間半。国交省の調査では、所有者の住まいから空き家まで車・電車で1時間超〜3時間以内の人が15.7%
よく見る場所
Googleマップの口コミ、検索、帰省したときの実家の郵便受けのチラシ

わたしとは生活も悩みも全然違う人として作った、架空のペルソナです。年齢は「相続で空き家を持った人のうち、65歳未満が42.4%」という国交省の調査から50代にしました。実家までの距離も、同じ調査の「所有者の住まいから空き家まで車・電車で1時間超〜3時間以内が15.7%」という数字に合わせています。

その人は、何に困ってるのか。

困りごとを一個の箱に入れないで、実務の悩みと気持ちの悩みを分けます。ここを混ぜると、サイトの文章がどっちつかずになるので。

種類具体的には
実務の悩み相続登記の手続きと期限、税金の特例、実家の片付け、売れるかどうか、適正価格かどうか
気持ちの悩み親の家を手放すことへの後ろめたさ、きょうだいと揉めたくない、営業電話を受けたくない

実務の悩みのところに出てくる制度にも触れておきます。相続登記の申請義務化は2024年4月1日に始まっていて、相続を知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がない場合10万円以下の過料があります(施行前に相続した分も対象で、その場合は2027年3月31日までの経過期間があります)。空き家を売ったときの3,000万円特別控除は、建物が昭和56年5月31日以前に建築されたことなど条件がついていて、相続人が3人以上だと2,000万円になります。サイトでは「こういう制度があります」と書くところまでにして、自分のケースに当てはまるかどうかは税理士・司法書士に確認してもらう前提にしたほうがいいです。

その人は、いつ、何を検索するのか。

困りごとが時間差で出てくるので、検索語も時期でバラバラです。時間の流れに沿って並べてみます。

父が亡くなってから売るまでの時間軸と、各段階の検索語、つばめ不動産が置いておくページ(架空のKさんの場合)
01父が亡くなった直後

何も考えられないのに、手続きは待ってくれない

  • 実家 相続
  • 相続税 いくら
  • 相続 兄弟
つばめ不動産が置いておくページあさぎ市で相続のあとにやること(窓口と期限の一覧)
02名義変更を考える数ヶ月後

期限があるのは分かったけど、何から手をつけるのか分からない

  • 相続登記 必要書類
  • 相続登記 義務化
  • 相続登記 自分でやった
つばめ不動産が置いておくページ相続登記の期限と、司法書士への頼み方
03実家をどうするか悩む時期

置いておくのも、手放すのも、どちらも決め切れない

  • 空き家 相続
  • 空き家 固定資産税 6倍
  • 空き家 売れない 理由
つばめ不動産が置いておくページ置いておく・貸す・売る・解体する(あさぎ市の実家の場合)
04片付けを考える時期

片付けないと進まないのに、量が多くて手が止まる

  • 実家 片付け 業者
  • 実家 片付け 費用相場
つばめ不動産が置いておくページ荷物が残ったままでも相談できます
05売る方向に決めた時期

売ると決めたけど、営業されるのが怖い

  • 実家 売却 税金
  • 実家 売却 寂しい
  • 不動産 査定だけ
つばめ不動産が置いておくページ帰らずに進める売却の流れと、手数料の目安
06ここは大手と一括査定が強い不動産会社を探す時期

どの不動産会社に頼めばいいのか分からない

  • 不動産屋 選び方 売却
  • 不動産 査定 デメリット
つばめ不動産が置いておくページGoogleマップの口コミと返信、スタッフ紹介

検索候補(オートコンプリート)は2026年10月5日10時台(日本時間)に取得したものです。検索の多さそのものじゃなくて「よく一緒に打たれてる言葉」の目安で、時期が変われば違う候補になります。06の「不動産会社を探す時期」は、大手と一括査定サイトがいちばん強いところなので、つばめ不動産はその前の01〜05で先に会っておくつもりで、ページを置いています。

「実家 売却」で検索して、つばめ不動産は出てくるの?

たぶん、出てきません。

「実家 売却」や「不動産 査定」みたいな短い言葉だと、上のほうに並ぶのは、だいたい名前を聞いたことのある大手の不動産会社や、一括査定サイト、不動産ポータルの記事だと思います(検索結果は、検索する人や時期で変わります)。地図の検索についてGoogleは、「関連性」「距離」「知名度」で並べると説明していて、知名度には口コミの数や、ほかのサイトでどれだけ取り上げられているかも入るそうです。社員5人の会社が記事を何本か書いたくらいで、ここで大手より上に出るのは、かなり難しいです。

なので、つばめ不動産は「実家 売却」では戦わないことにします。代わりに、大手が狙いにくいところまで狭めます。狭め方は5つ考えました。

狭め方たとえばこんな検索語大手が狙いにくい理由(わたしの見立て)
地域で狭めるあさぎ市 空き家 売却/あさぎ市 不動産全国向けのページは、1つの市のことまで細かく書きにくい。地図の検索は距離も見るので、地元の会社が出やすい
状況で狭める遠方 実家 売却/空き家 管理 遠方/実家 売却 荷物/空き家 見回り 代行「遠くに住んでいて、荷物も残っている」まで書いたページは少ない。鍵を預かって見回るのは、地元にいないとできない
家の古さで狭める古家付き土地 売却 解体費用/古家付き土地 売却 3000万円控除古い家の特例(昭和56年5月31日以前に建てた家など)や解体の段取りは、地元の解体業者や司法書士とつながっている会社のほうが答えやすい
値段で狭める(高くは売れない空き家)仲介手数料は価格に比例するので、安い家ほど割に合いにくい(下で計算します)
時期で狭める実家 相続/相続登記 必要書類/空き家 固定資産税 6倍大手や一括査定が待っているのは「会社を探す時期」。その前の段階で、先に会っておく

表の検索語は、2026年10月5日にGoogleの検索候補で実際に出てきたものです(「あさぎ市」は架空の地名なので、実際には自分の市の名前で調べます)。「空き家 800万円」や「空き家 売却 地元」のように、候補が出てこない言葉もありました。候補が出る言葉は、少なくとも誰かが打っている言葉です。

値段のところは、計算するとはっきりします。売買の仲介手数料の上限は「価格×3%+6万円」(+消費税)なので、3,000万円の家なら96万円、500万円の空き家なら21万円です。古い空き家だからといって、手間が少ないわけじゃないのに。実際、国土交通省が不動産会社に聞いたアンケートでは、空き家を扱うネックの1位が「業務の負担に対して、収益性が低いこと」で61.7%、3位が「通常の仲介よりも現地調査等の手間・時間がかかること」で32.0%でした(複数回答)。2024年7月から、800万円以下の空き家などは、事前に説明して合意すれば上限30万円(+消費税)まで受け取れるようになったのも、この話の続きです。

じゃあ、それぞれの言葉で来た人を、どのページで受けるか。1つのページで答える悩みは1つにして、ページの最後のボタンも、その悩みの言葉に合わせます。

検索語受けるページ最後に置くボタン
あさぎ市 空き家 売却あさぎ市で相続した実家を売るとき(市の空き家率、相場の調べ方、相談から引き渡しまでの流れ)まずは資料だけもらう
遠方 実家 売却/空き家 管理 遠方帰らずに進める売却と管理(オンライン相談、郵送の手続き、鍵の預かり)オンラインで相談する
空き家 見回り 代行空き家の見回り(見回りの内容と、報告の見本)見回りだけ相談する
実家 売却 荷物荷物が残ったままでも相談できます(片付け業者の選び方)まずは資料だけもらう
古家付き土地 売却 解体費用古い家を残すか、壊すか(解体の段取りと、3,000万円の特例の条件)わからないところだけ聞く

それから、Googleは、検索の順位を上げることを目的に作ったページより、読む人を第一に作ったページを勧めていて、実際に使ったり、その場所を訪れたりした経験にもとづく知識があるかも見ると書いています。あさぎ市の古い家を実際に何軒も見てきた会社にしか書けないことがあるなら、そこが大手に無い材料です。ただ、こうすれば必ず上に出る、という話ではないです。順位を決めるのはGoogleなので。

「その悩み、本当にある?」を、数字で確かめる。

ペルソナと検索語は作れても、それが本当にその町にある悩みなのかは別問題です。ここで数字を見にいきます。

知りたいことどこで調べる実際に取れた数字
空き家はどれくらいあるか(全国)総務省 住宅・土地統計調査空き家900万2千戸、空き家率13.8%(2023年10月1日時点・確報)
自分の市はどうかe-Statで地域を市区町村に指定都道府県だけでも埼玉県9.3%〜徳島県21.3%まで、2倍以上の差がある
空き家を持ったきっかけ国交省 空き家所有者実態調査相続54.6%が最多(2019〜2020年調査、n=3,912)
空き家まで1時間以上かかる人同上車・電車で1時間超が合わせて28.2%(1時間超〜3時間以内15.7%、3時間超12.5%)
管理の悩み同上「管理の作業が大変」29.8%、「使う予定がないので管理しても無駄」26.0%、「管理費用の負担が重い」21.6%、「遠方で管理が困難」21.0%(複数回答。「課題はない」30.2%)
売却時の不安民間調査(売却経験者143人)売却費用23.1%、売却金額の妥当性21.0%(調査主体は空き家の買取業者)
口コミで何を見てるか民間調査(303人)口コミの内容70.0%、評価の星49.8%(不動産会社限定の調査ではない)
売却の決め手・一括査定の利用率探した(業界団体の調査など)見つからなかった。この章では正直に「無い」と書きます
  • 国の統計:e-Statで住宅・土地統計調査を選んで、地域を市区町村に絞る(対象は市・区と人口1.5万人以上の町村)
  • 省庁の実態調査:国交省の空き家所有者実態調査のような報告書PDF。回答者数と調査した時期を必ず確認する
  • 検索候補:検索窓に言葉を打って出てくる候補をメモする。取得した日を書いておく(検索数そのものではない)
  • 民間の調査:PR TIMESなどのリリース。調査主体・人数・時期を見る。売る側の会社がやった調査は割り引いて読む
  • 公開したあと:Search Consoleで、実際にどんな言葉で来たかを見る
  • 見つからなかったら、見つからなかったとそのまま書く

その人は、どこでこの会社に出会うのか。

検索だけじゃないんですよね。帰省したときに郵便受けを見るとか、人から聞くとか。出会い方ごとに、そのときの気持ちが違います。

接点そのときの気持ちサイトでやること
Google検索(相続・空き家の悩み)まだ決めてない、情報収集中専門用語をひらいた説明記事を用意して、売り込み色を抑えた入り口にする
Googleマップの口コミこの人たちに任せて大丈夫か確かめたい星の数だけじゃなく、口コミへの返信とスタッフの実務経験を見せる
一括査定サイトで査定だけ依頼営業電話が来るのが怖い「査定だけでも大丈夫です」と、連絡方法を選べることを明記する
実家の郵便受けのチラシ(帰省時)自分には関係ないと思ってるチラシのQRコードから、サイトの同じ入り口に飛べるようにする
司法書士・市の空き家相談窓口からの紹介専門家が勧めたから、少し信頼できる専門家向けの案内ページを別に用意する

で、どんな会社だと思ってもらえばいいの?

ここでようやくデザインの話に戻ります。STEP 09〜11でやった文字・色・写真・余白・ボタンの話を、この人の悩みに合わせて使います。

悩み与えたい印象デザインでやること
営業されたくない急かされない安心感大きい赤の「無料査定」バナーをやめて、ボタンは「まずは資料だけもらう」にする
損したくない・適正価格か不安根拠がある誠実さ免許番号・創業年・仲介手数料の計算例を載せる。物件写真をぎっしり並べるより、実際の仕事の様子を見せる
きょうだいと揉めたくない一人で決めなくていい相談フォームで「相談者が複数いる」を選べるようにし、資料を複数人へ送れる案内を置く
親の家を手放す後ろめたさ急かされない、冷たくされない明朝体中心の落ち着いた文字にして、実家を商品のように並べる見せ方をしない
遠くに住んでいて、何度も帰れない帰らなくても進む安心オンライン相談・郵送の手続き・鍵の預かりと見回りを、最初の画面で見せる
何から始めればいいか分からない迷わず次の一歩がわかる相続の時間軸に沿ったメニューを作り、近接と整列でやることを一つずつ見せる

あと、「完全無料査定」とか「業界一の高額買取」みたいな言い方は、不動産の表示に関する公正競争規約で引っかかります。「完全」「絶対」「日本一」「業界一」「最高」「格安」「激安」のような特定用語や、ナンバーワン表現は、裏付けになる根拠が無いと使えません。わたし、こういう煽り言葉を削るのはセンスとか遠慮の問題だと思ってたんですけど、ちゃんとルールで決まってたんですね。

  • 免許番号は「〇〇県知事(3)第xxxx号」のカッコの中が更新回数で、数字が大きいほど長く営業している目安になる
  • 仲介手数料は、売買価格が400万円を超えるときは「価格×3%+6万円」に消費税を足した額が上限になる速算式がある(速算式は価格全体に使う)。2024年7月1日からは、800万円以下の「低廉な空家等」で事前説明・合意があれば上限30万円+消費税まで受け取れる特例もある
  • 国交省の不動産情報ライブラリでは、取引価格や地価公示を地図で無料で見られる。他社の見積もりと比べる材料として、お客さんにそのまま案内してもいい

で、実際に作るならこんなサイトです。

画像はこの3枚です。文字・色・写真・余白・ボタンをそれぞれ何のために選んだか、STEP 11でやった「架空3ブランドの比較」と同じ形式で説明します。

骨格は同じ不動産会社のサイト、3つの画面 / 架空の依頼主「つばめ不動産」の提案(画像は生成AIで作った架空の画面)
つばめ不動産トップページのPC版。「あさぎ市」の地名入りの見出しと、名札「宅建士」をつけたスタッフ2名の写真

PC版トップページ

遠くに住んでいても、帰らずに進められると分かるつくり
文字
明朝体の大見出しの下に、ゴシック体で「遠くにお住まいでも、帰らずに進められます。」を1行足した。実家まで1時間超かかる人が28.2%というデータに、最初の画面で答える。カードは「相続の手続き」にして、下に「提携の司法書士・税理士におつなぎします」と添えた。税金の個別の相談は税理士の仕事なので、不動産会社が受けるようには見せない
色
生成りと深緑。赤い「無料査定」の帯は無し
写真
物件の一覧じゃなく、玄関先に立つスタッフ2名の顔と、名札「宅建士 森田」「宅建士 川口」。顔だけでは誰か分からないので、名前と資格を重ねて裏付けにした。画面の一番下にも「あさぎ市で40年 宅地建物取引業 〇〇県知事(9)第〇〇〇〇号」を小さく入れた。目立たせなくていいけど、探したときに必ず見つかる場所に置く
余白
ヘッダーと見出しの間を広く取り、写真の下に帯を1本入れて「オンラインで相談」「書類は郵送で」「鍵を預かって見回り」を並べる。実家まで1時間超かかる人への、来なくても進められる具体的な手段
ボタン
「まずは資料だけもらう」。すぐ下に「こちらからお電話はしません」を添えて、査定のあとの営業電話への不安に先に答える

狙い:遠くに住んでいることへの申し訳なさと、売り込まれる怖さを、最初の画面で同時に消すこと。「あさぎ市」という地名も入れて、全国どこにでもある一括査定サイトと見分けがつくようにしています。

つばめ不動産トップページのスマホ版。スタッフ1名の写真と名札、相続・空き家・片付けを選ぶ3つのボタン、件数入りの口コミカード

スマホ版トップページ

一つの指で迷わず選べるつくり
文字
見出しは「今、気になることは?」の1行だけ。選択肢のボタンの文字を一番大きくする
色
PC版と同じ生成りと深緑。ボタンだけ少し濃くして押せる場所だと分かるようにする
写真
見出しの上に、スタッフ1名と名札「宅建士 森田」を小さく置くだけ。物件一覧は下の階層に回す
余白
ボタンの間を広く取って、電車の中でも押し間違えないようにする
ボタン
「相続の手続き」「空き家のままにしておく」「片付けと売却」の3択。下の固定バーは「まずは資料だけもらう」で、PC版のボタンと同じ言葉に揃えた。画面が変わってもボタンの言葉が同じなら、同じ会社の同じ入り口だと分かる

狙い:「今の自分はどの段階か」を先に選ばせること。口コミは「4.6(38件)」と件数を出して、本文も「兄弟の話がまとまるまで、急かさず待ってくれました」のように、悩みに答えた中身にしています。件数のない「お客様の声」だと、何人の感想なのか分からないので。固定バーには「こちらからお電話はしません」と、はっきり書いています。

相談から引き渡しまでの流れを示すページ。④で売る・貸す・置いておく・解体するの4つに分かれ、売る以外は相談を続けると書かれた図解

流れのページ

売る以外の道も隠さない地図
文字
見出しの下に「どこで止めても大丈夫です。」を1行足した。段階ごとの見出しだけ太く、説明文は細め
色
①の箱だけ深緑で塗り、上に「最初はここから」。残りは生成りに深緑の細い枠線。見ている人がいまどこにいるかはページには分からないので、「いまここ」ではなく、最初の一歩だけを示す
写真
使わない。図と文字だけにして、情報を探す速さを優先する
余白
箱と箱の間を広く取って、④から先を4本に分けても詰まって見えないようにする。司法書士・税理士の注記は枠で囲んで、本文と区別する
ボタン
「わからないところだけ聞く」。全部読まなくても質問できる出口を用意する

狙い:売る以外の道もあることと、お金がかかる場所を、先に見せること。④から「売る」「貸す」「置いておく」「解体する」に分かれていて、売るのは4つのうちの1つです。売る一本道の図だと、トップで「空き家のままにしておく」まで選ばせた約束と食い違うので。下の括弧の「ここまで、当社へのお支払いはありません」は、売却の不安の1位が費用(23.1%)だったところに答えています。

3枚とも、同じ会社の同じ骨格です。

見出し→写真→ボタンという順番は、よくある不動産会社のサイトと変えていません。変えたのは、ここまでの「悩みごとに与えたい印象」に合わせて、地名・スタッフの名前・口コミの件数・流れの分かれ方まで、具体的な裏付けを足したところです。

赤い「無料査定」の帯と、物件写真のぎっしり並ぶ一覧は、どの画面にも使っていません。あのつくりは「もう売ると決めてて、早く査定してほしい人」には効くはずですが、今回のKさんはまだそこまで決めてないので、同じつくりだと近寄ってもらえない気がします。

実際に真似するときに一番効くのは、たぶん色でも書体でもなくて、ボタンの言葉を悩みの言葉にそのまま揃えるところです。「お問い合わせ」じゃなくて「まずは資料だけもらう」。悩みが具体的なほど、ボタンの言葉も具体的にできます。

データまで集めたのに、なんで1回目はダメだったの?

さっきの3枚、実は2回目です。1回目はこうでした。

同じお題、同じ色、同じ会社の1回目と2回目 / どちらも生成AIで作った架空の画面

トップページ(PC)

相談から引き渡しまでの流れ

色と書体は、1回目と2回目でほとんど変えていません。変えたのは、画面に書いてある言葉と、流れの図の形です。

1回目に抜けてたこと手元にあった数字2回目で足したもの
遠くに住んでいる空き家まで1時間以上かかる人が28.2%「帰らずに進められます」と、オンライン相談・郵送・鍵を預かって見回り
まだ売ると決めてない今後の予定は「空き家にしておく」28.0%、「売却」17.3%流れの図を④で「売る・貸す・置いておく・解体する」の4つに分けた
お金のことが不安売却で不安だったことの1位が「売却にかかる費用」23.1%「ここまで、当社へのお支払いはありません」の括弧
営業電話が怖い数字は見つからなかった。検索候補に「不動産 査定だけ」ボタンのすぐ下に「こちらからお電話はしません」
どこの、誰なのか分からない空き家率は都道府県で2倍以上違う(地元ごとに事情が違う)地名、「あさぎ市で40年」、免許番号、宅建士の名札
税金の相談まで受けるように見える税金の個別の相談は税理士の仕事「提携の司法書士・税理士におつなぎします」

真ん中の列は、全部1回目を作る前から手元にありました。作ってる間に、見返さなかっただけです。

作ったあと、当たったかどうかは何で見るか。

感想じゃなくて数字で見ます。STEP 07でやった指標の話を、ここでも使います。

見るのは、Search Consoleでどの検索語から来てるか(「空き家」や「相続」で来てるのか、会社名で来てるのか)、問い合わせの件数と内容、フォームのどこで離脱してるかくらいです。査定の申し込みが増えても、営業電話を怖がられて音信不通になってたら、たぶんどこかのボタンの言葉が合ってません。

順位を見るときも、「実家 売却」で何位か、じゃなくて、狭めた言葉のほうから人が来ているかを見ます。「実家 売却」では相変わらず出てこなくても、「遠方 実家 売却」から問い合わせが来ていたら、狙いどおりです。

YOUR TURN / 仕事に置き換える

いま関わってる仕事や商品を一つ選んで、ペルソナを一人だけ決める。検索語を3つ、実際に取れた数字を1つ添えてみる。数字が1つも見つからなかったら、それも書いておく。わたしはだいたいそこで、思い込みだったことに気づきます。

身近な例と実務の提案は、本サイトによる説明用の仮説です。人物の発言は架空で、調査回答や利用者の証言ではありません。

この章の出典・参考資料(18件)